月明かり

月明かり

英②

凛恋さんが来て、私は少しはしゃぎすぎた。  それからしばらく、気分が盛り上がったり、不安定になって、友花に心配をかけた。  人並みに楽しむことすらできないのか、と落ち込む。  友花はさりげなく元気づけようとしてくれる。  いつも迷惑や心配ば...
月明かり

友花②

水が滴っている英の髪をもう一度拭き直すと、私はドライヤーのスイッチを入れた。  熱すぎないように、手を添えて乾かしていく。 「熱い?」  私が聞くと、 「大丈夫」 と英が答えた。  きっととても疲れているんだろうなと思いながら、心を鬼にして...
月明かり

英①

友花が仕事に行ってしまったあと、私は朝のぶんの薬を飲んだ。  一包化された薬は全部で7錠。まとめて口に放り込んだ。  子どもの頃は1つずつでもなかなか飲めなかったのにな、と思いながら、多めの水で流し込む。  それから、言われた通りにベッドに...
月明かり

友花①

ため息なのか、うめき声なのか。  かすかな声で目が覚めた。  私は体を起こし、英の顔を覗き込んだ。  涙が枕を濡らしている。  また、いつものやつだ。  こうなってしまったら、私にはなすすべもない。 「友花……、起こしちゃった?」  寝起き...
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